1/19(土)に、第2回 雨まちづくり連続セミナー「雨のみちをデザインする〜タニタハウジングウェアの取組」を開催し、35名の方にご参加いただきました。
2部制で実施したセミナーの模様を小川理事のレポートから抜粋してご報告します。



【第1部】雨水まちづくりサポートによる、雨水への取組みの現状報告と2018年度資格取得者への認定証書授与式

2016年7月28日の設立から2年半余りが経ち、今年度は「雨水技術者認定」、「雨水検定」、2件の受託業務があり作業を進めている旨、神谷理事長から報告しました。

 ご来賓からは、それぞれに当NPOへの期待を込めた後押しの言葉をいただきましたので要旨をご紹介します。

国土交通省水資源部水資源政策課 今長岳志課長

「雨水の利用の推進に関する法律」成立後、自治体への取組みを促すとともに、近年多く発生している災害時での対応、ならびに雨水の流出抑制と貯留・利用を組合わせた総合治水を推進している。これを支援する本NPOの活動に期待している。

 (公社)雨水貯留浸透技術協会 屋井裕幸常務理事

雨水の浸透・貯留技術は治水対策として有効な技術である。その対策としてGI(グリーンインフラ)は普及のために数値化が必要であり、日本建築学会の蓄雨の概念による100㎜達成が求められている。また、極端気候が多発し雨水対策は世界の都市の共通の問題となっている。

 九州産業大学 山下三平教授

福岡の「あまみず社会研究会」は本NPOと連携して、雨水活用技術の普及を推進している。福岡でも雨水ハウスの実績があり、また昨年末に東京で雨水コーディネータ養成講座を開催しており、今後協力して普及活動を推進したい。

 

「人を育てる」:雨水技術者認定の認定証の授与

続いて、雨水技術者認定について今年度の活動報告と認定証の授与を行いました。

昨年度に続き2期目となる維持管理部門(A-1)は、6名が雨水活用施設維持管理技士の資格を取得しました。また、今年度初めて実施した設計監理部門(A-2)では、雨水活用施設設計技士(雨水デザイナー)6名、雨水活用相談員(雨水アドバイザー)3名が誕生しました。

 

「雨の常識を広める」:雨水検定

より広く雨水に関する知識を普及することを目的にスタートした雨水検定についても活動報告を行いました。「あまみずとうすいの違い」「蓄雨」という概念の説明など、セミナーに初めて参加された方への解説も意図して、雨水検定の過去問からクイズ形式で会場に問いかけながら実施状況を報告しました。今年度は雨水検定初級の第2回(8/6)、第3回(12/23)を実施し、合計で18名の方が受検しました。2019年度は、4月頃に初級第4回を行い、年度内に雨水検定中級を実施する予定です。

 

【第2部】雨まちセミナー:「雨のみちをデザインする」 

講師:谷田 泰氏(㈱タニタハウジングウエア代表取締役社長)

第2部は講師の谷田さんのご講演とそれを受けた、当NPO神谷理事長との雨水トークを開催しました。

谷田さんからは、金属製の雨とい・屋根材・外装材を製造・販売する会社の社長に就任されてから、「雨のみちをデザインする」というコンセプトに至った経緯や現在の雨水利用の事業活動について、写真を多く紹介しながらお話しいただきました。雨といは何のために存在するのか? 雨といのルーツは? 晴れの日の役割と雨の日の役割とは? 雨のみちをデザインするとは? 雨水利用を事業して雨をひらくことで得られる豊かさとは? ・・などなど、改めて新しい視点で雨を捉えることができました。

ユニークな雨といの例として、ヨーロッパの建築物にみられる怪物「ガーゴイル」の形状をした雨水排水口を紹介されたり、自社で開発した鎖といのパーツであるカップ型が、シャンデリアとして使用されている事例があるとのお話もありました。なお、谷田さんが発行されたオリジナル絵本「雨くんの一人旅」は、雨にも降りたい家と降りたくない家があるのではないか、という着想からストーリーを考えたとのこと。ぜひ読んでみたいなと思いました。

後半は「雨水トーク:雨のみちをつなげるには」として神谷理事長の進行で会場からの質疑も交えてディスカッションを行いました。

 「雨のみち」というコピーを考えたのは谷田氏ご自身だそうで、漢字を使わずにひらがなにしたことで「道・路・未知」など複数の意味を込めているそうです。特に、現代に雨水利用の未知なる可能性を探りたいとの強い想いがあるそうです。また、会場からは、米国西海岸にある「雨が流れることで鮭が遡上するように見える雨とい」を例に、アーティストも巻き込んでユニークな雨といを創り出す試みの提案もありました。豪雨対策への対応、雨水利用しやすい雨とい、ユニークな雨といなどより付加価値の高い雨といへ期待する意見も複数飛び出しました。